単板襖(たんばんぶすま)

単板襖の薄い板を剥がしたところ

襖って、
見た目、襖紙のデザイン、枠の色、や引手の違いくらいで、
違いって無い様に思われると思いますが、
実は、
襖の芯材の作りがいくつかに分類されます。

ウチの辺りでよく見る襖の芯材のタイプは、
昔ながらの作りの骨が障子の様に入っている本襖
簡単な骨に薄い木が貼られた単板襖
最近主流になっていると思うチップボール襖
生産効率が高いと思う骨が入っていない段ボール襖など

今回は、単板襖について

単板襖とは、本襖よりも荒く作られた骨(組子)に薄い板を貼り付けられたものになります。
その薄い板が補強となり襖の芯を形成しています。

経年劣化というのでしょうか、
紙の引っ張りに負けて骨から剥がれてしまっていたりと、
結構な率で骨と薄い板が一部剥がれている事、
また、剥がれていなくても
骨の数が少ないので、
波打つくらいギューっと縮こまっている様なものもあります。
おそらく、
ある時期の襖の芯材の主流の1つかもしれないです。

今回記事にしようと思ったのは、
引き上げる前に「単板襖」の芯材の骨の跡が襖紙面に浮き出ているので、
お客様にも説明できますけど、
結構しっかりしている風ですが、
芯材を少し強めに触ると「ペリッ!」って音がするやつなんです。( ; ; )
見た目しっかりしているので、
骨と薄い板が剥がれちゃうってイメージ沸かないやつです。

見た目波打っていたり、穴がボッコリ開いていたり、
接着部分が剥がれて襖がヘロヘロだったりすれば、
新規をお勧めできるんですけど。

お客さんから見るとまだしっかりしているから大丈夫じゃない?
でも、
襖紙を貼ったり、
枠の分解組み立てのショックで
剥がれてしまう可能性大なので、
本来は、
修理ではなく、芯材交換や新規襖に交換が一般的になると思います。

しかし、

今回は、枠も本体も比較的しっかりしていたので、
剥がれそうな場合は、修理をすることにしました。

古い襖紙は、色々な匂いや空気の汚れを吸収していますし、
経年劣化で紙自体の強度も無くボロボロだったりするので、
うちでは、その様な匂いや汚れを吸った紙を全部剥がしてしまう方なので、
普段から芯材補修など行うことが多いです。^^;

簡単ですが、
まずは剥がれそうな薄い板を
片面全部剥がしちゃいます。
触ると簡単に剥がれちゃうところが多いです。
これは縦が多くて横が上下の枠部分を入れて
4本のタイプです。
横の骨が多くて薄い板の向きが変わり、
縦の骨が両脇だけの物もあります。
骨が少ないでしょ。

単板襖の薄い板を剥がしたところ

木工ボンドを塗って貼り付け重しを載せて乾かします。
ある程度乾いたら反対面を同様に剥がしてボンド付けします。

剥がれた薄板を貼り付けるためにボンドをつけたところ。

片面づつ行う理由は、
両面一緒に行うと骨の寸法や歪みが変わってしまうからなんです。

また、剥がれているところだけで良いんじゃ無い?と思いますが、
大丈夫そうな部分も、
襖紙が乾いてパーンと張った後とか、
枠を取り付ける時に、
中で剥がれて、しまいそうな怪しいモノは、
そうならない様にと、
全部剥がしてボンド付けしてます。^^;

天袋は押入から比べると、
剥がれてしまっているモノは少なくなりますけど、
薄板と枠の継ぎ目がマスキングテープなどで、
貼り付けられてある部分が、剥がれている事が多いので、
その繋ぎ目をマスキングテープの代わりに、
障子紙を糊でペタリ貼り付けてます。

天袋のマスキングテープの代わりに障子紙で補修

この後は、はみ出たボンドなどを削り取り芯材を整えて、
通常作業の
茶チリを両面貼って、雲華紙、襖紙を貼ります。

今回は、修理してしまいましたが、
単板襖のノリも経年劣化で剥がれてしまいますから
大丈夫そうだと思っていても、
ある程の期間使われた襖は、
新規も考えていただければと思います。

最後に、
襖の張り替え作業は、
お店の考え方などにより
同じ紙での張替作業でも、
施工の内容や手間により価格や納期がかなり変わると思いますから、
分からない事は、
ご依頼予定のお店に、遠慮なく聞かれた方が良いかと思います。

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